会社員一筋20年、最近は海外の会社とのやり取りも増えてきた。来年はアフリカ大陸のナイジェリアに出張で行く予定だけど、アフリカってどんな場所なんだろ⁈
今回はこんな会社員の方の疑問にお答えします。
今回から本の要約にチャレンジ。椿進さん著の『超加速経済アフリカ LEAPFROGで変わる未来のビジネス地図』を読んだ内容を分かりやすく要約して、アフリカ大陸について詳しく解説していきます!
目次
第1章 アフリカは想像以上に大きくて、若い
さいしょに質問ですが、アフリカ大陸には何ヵ国の国々があると思いますか⁉
正解は54ヵ国です。アフリカ大陸は東西に約7400km、南北に約8000km、総面積でおおよそ3022万k㎡、2019年時点の人口は約13億人と想像以上のスケールです。アフリカ大陸は、米国、中国、インド、欧州、メキシコ、日本がすっぽり入ってしまうぐらいの大きさです。
気候に関しても「ジャングル」「猛烈な暑さ」「砂漠」をイメージする人も多いとは思いますが、赤道直下でもルワンダの首都「キガリ」やケニアの首都「ナイロビ」などは、月間平均気温が20~22度ぐらいと、「夏の軽井沢」のように過ごしやすい気候です。
年齢に関しても、0歳から並べてちょうど中間となる人の年齢「中位年齢」が、日本の「48.4歳」に比べアフリカ全体では「19.7歳」と、とても若い人たちが多いので、今後高い経済成長が期待されています。
2019年時点でアフリカには13億人も住んでいるんだ...今後まだまだ人口は増えていくの⁉
2050年には、ほぼ倍の25億人に達すると予想されているよ!!
第2章 アフリカはどんどん豊かになっている
アフリカでは電気のない家に住んでいる人たちがまだ沢山いますが、電気を通そうと尽力している国々が沢山ありますので、徐々にではありますが、電気が普及してきています。
驚くべき事ですが、電気の普及率が低くても、「スマホ」「ケータイ」の普及率は日本とさほど変わらない。
アフリカの「スマホ」「ケータイ」はお財布の代わりにもなっており、生活の必需品です。日本のテレビでも有名になったマサイ族は、放牧中心で暮らしていますが、成人はほぼ全員「スマホ」「ケータイ」を持っています。
今アフリカでヒットしているサービスの1つが「M-PESA」です。総額数万円かかるスマホのセットを、最初3000円の頭金を払い、その後は約50円/毎日支払いをすることで、1年半後に自分のものになるという画期的な仕組みです。
驚きの事実ですが、日本と違ってプリペイド携帯が殆どだという事。これは銀行口座やクレジットカードの普及率が低い事、所得の問題もあって使用料を後払いにすると回収が困難を極める事、このような理由から、「M-PESAショップ」でお金をチャージして、毎日支払うといった地域性に合ったサービスになりました。
また携帯の基地局を中国のファーウェイやZTEなどの基地局メーカーに丸投げすることで、基地局がすぐに敷設され、今やサバンナでもほぼ電波が繋がるような状況です。
コロナ禍になる前の2019年、ナイロビでブームになっていたものがありますが、それは健康のためのフィットネスクラブです。都市部を中心に、肥満による生活習慣病で亡くなる方が徐々に増えてきたからです。
日本のように救急車が駆けつける制度がないため、癌や生活習慣病の予防として、フィットネスブームにつながったようです。
アフリカが抱えている健康上の大きな悩みって何かあるの⁉
意外かもしれないけど、実は「肥満」って答える人が増えてきているんだ!!
第3章 アフリカはかつて日本が経験した急成長期にある
アフリカの農村部では血液バンクのような輸血の仕組みがないので、出産時に妊婦さんが出血多量で亡くなってしまうこともあるそうです。また上水道の普及率も農村部は低いエリアが多いので、水道水はそのまま飲めないので、一旦沸かしてから飲む必要があります。
一方で都市部では、イオンモールのようなショッピングモールがオープンしていたり、大規模複合ショッピングモールでは販売価格4000万~8000万のレジデンスも分譲されていたりします。
世帯年収900万円以上のリッチ層が、南アフリカでは約8%、エジプトで約4%、ナイジェリアで0.8%、ケニアで0.9%ほどいますので、20万円以上するLGの大型薄型テレビや大型冷蔵庫を購入できる新中間層が出てきています。
一人当たりのGDPが1000ドルを超えたあたりの国では、都市部の住宅を購入すると2~3年で2倍の値段で売れる国もあったりします。実は50年前の日本も同じような状況だったそうです。
一人当たりのGDPが1000ドルを超えてくると、新幹線や高速道路などの都市部のインフラづくり、スーパーマーケットやショッピングモールの開業、中古車やバイクの普及、そして地方から若者が続々と都市部に流入して、都市化が始まり、土地の値段も急速に上昇していきます。
一人当たりのGDPが3000ドルを超えてくると、ぞくぞくと外食チェーンがオープン、大型のショッピングモールがオープン、乗用車の新車やカラーテレビ、クーラーなども売れ始めるタイミングです。
一人当たりのGDPが1万ドルを超えてくると、消費文化が多様化してくるので、アミューズメント施設やレジャー施設などの体験型施設や普段買えないものをわざわざ買いに行く、また海外旅行ブームがくるのもこの辺りです。
アフリカの女性たちで、髪の毛にウィッグやエクステンションをつけて、お洒落を楽しむ人たちも現われてきています。一人当たりGDPが3000ドルを超えたケニアのナイロビでは、普通の会社で働く月収5万~8万円ぐらい女性たちが、月平均5000円~1万円ほど髪の毛にお金をかけているそうです。
アフリカで一人当たりのGDPが1万ドルの都市ってどこなの⁉
正解は南アフリカの最大都市ヨハネスブルグだよ!!
第4章 アフリカは先端技術が日本より浸透している
第2章で紹介した「M-PESA」ですが、これはケニアの最大手通信キャリアが展開しているサービスです。日本のPayPayと同じようなモバイルマネーというだけでなく、預金、ローン、送金とモバイルバンキングにもなっており、もはや銀行が必要とされていないということです。
「M-PESA」は携帯さえあれば、銀行口座をもたずとも全部でき、日本よりよほど進んでいると言えます。アフリカにはレガシー(※既存インフラ・既得権益者・岩盤規制)が少ないため、日本以上に先進技術が社会に広く浸透するわけです。
ウガンダ人のHam Serunjogiが2017年に創業した「Chipper Cash」は、国際個人間送金がスマホで初年度手数料無料で出来るサービスとなっており、商用サービスをガーナ、ケニア、ルワンダ、タンザニア、ウガンダ、ナイジェリアで展開しています。一般的な国際送金は、銀行口座同士で手数料が取られるため、このサービスが今とんでもない急成長を遂げています。
既得権益が少なく先進のサービスがすぐに提供出来ると、研究開発は先進国で行い、商用サービスは最初にアフリカで行う、このようなビジネスモデルも成り立つわけです。
その1つに、イギリスのベンチャー「babylon/babel」がルワンダでスタートした遠隔診療/AI診断サービスがあります。これは病院が少なく、医師の数も少なく、病院が近くにないルワンダで、具合が悪くなった患者が①まずは携帯のAIチャットボットとやり取り②解決できない場合はナースが診断③それでも解決できない場合は最終的にドクターが診断するといったサービスで、支払いもモバイルマネー対応、処方箋も電子的に発行されます。
サンフランシスコの企業で「Zipline」というユニコーン企業になっているベンチャーは、ルワンダとガーナでアプリで病院から注文を受け、ドローンで目的地まで運ぶ商用物流サービスを提供しています。どうして血液をドローンで運ぶかというと、①アフリカにはまだ血液を各病院にストックしておく仕組みが不十分、②地方を中心に未舗装道路が多いので、雨季は道がドロドロになるので車両での配送だと時間がかかる、以上の理由からドローンが使われているそうです。
これらもすでにユニコーン企業になっている、米国のモバイル式超音波診断機の「Butterfly」はハンディタイプの超音波診断機で、最大の特徴はスマホ直結型でクラウドにつなげ、遠隔診療やAI診断が可能なことです。Butterflyでは、操作の研修を受けた人が操作し、そのデータをクラウドにアップして、それをAIや遠隔で専門医がチェックして診察ができますので、医師の少ないアフリカにはうってつけです。
新型コロナウイルスでアフリカでもロックダウンをする国が多数あったなか、ライブマーケティングでアフリカ版TikTok「Vskit」がアフリカの若者たちに人気になっています。TikTokと同様に、自分が気に入ったものを動画で紹介し、そこから買ってくれたらアフィリエイトがもらえる仕組みがあるからです。
31歳のナイジェリア人がラゴスで起業した「Kobo360」は、日本の日本通運・佐川急便のような大規模な物流会社がないナイジェリアで、小規模な運送会社と顧客とをマッチングするプラットフォームを提供しています。加盟する小規模な運送会社に、運送代金の早期支払い、最適ルートの提供、ドライバーの運行記録の管理、提携ガソリンスタンドで給油すると2割引き、保険やタイヤも安く購入可能など、様々なメリットがあります。
さきほど紹介してくれたケニアのモバイルマネー「M-PESA」は、どれだけ普及してるの⁉
おおよそ成人の96%ぐらいかな!!
第5章 アフリカは医療テック市場が世界で最も熱い
アフリカでは今、ベンチャー企業が大きく注目されており、ユニコーン企業(時価総額10億ドル超のベンチャー企業)は4社(2020年時点)ですが、今後はどんどん増えていくでしょう。第5章では今ホットなヘルスケア領域のベンチャー4社を紹介します。
最初に紹介するベンチャーは「Flare」、2015年よりケニアで事業を行っています。アフリカではほとんどの国で公的な救急車サービスの仕組みがなく、各病院が所有している救急車を仮に呼べたとしても、現場に到着するまで2~3時間かかることもあります。そこでFlareはナイロビを中心に各病院が所有している救急車をネットワーク化し、配車プラットフォームを構築しました。「Uber型救急車モデル」と呼ばれることもあります。
2社目はナイジェリアで2015年に創業したネット専業の医療保険会社の「Reliance HMO」。公的な医療保険が3~4%しか普及しておらず、国民の約8割が無保険のナイジェリアで、自前でユーザーニーズに合った商品提供を行っています。「不正請求」をされないように、保険金の支払いを保険加入者個人に対してではなく、病院に対して行ったことで、利益・加入者ともに増加している状況です。
3社目は西アフリカでナンバーワンの電子医療記録/EMRプロバイダーの「Helium Health」、ナイジェリアを中心にすでに200を超える医療機関に、現地のニーズにあった独自の電子カルテを提供しています。日本の電子カルテの多くは売り切りで導入したらおしまいですが、Helium Healthの場合は今流行りのサブスクリプションを取り入れています。一度データを導入してしまうとデータがたまっていくので、解約率が低いのが特徴です。
最後に紹介するのはケニアの「VitalRay」。東アフリカ最大級の検査専門センターで、MRIやCTスキャンなどの大型検査機器を中心とした検査に特化しているのが特徴です。一台数千万円もするような大型検査機器はアフリカの普通の病院ではなかなか購入できないため、VitalRayがかわりに検査を行うといったサービスを提供しています。
アフリカのユニコーン企業(時価総額10億ドル超のベンチャー企業)は今どんな状況なの⁉
インドの10年遅れ、中国の25年遅れで立ち上がってきているよ!!